現在の日本では、デザインは見た目をよくしたり、かっこよくするためのツールだと誤解している人がたくさんいます。それはなぜでしょうか。どうすれば、その誤解を解くことができるでしょうか。

きっとそれは、教育や社会の問題であり、デザイナー自身の課題でもあります。デザインの善し悪しはあっても、デザインに無関係な人や場所は存在しません。それほどまでに日常に寄り添ったものであるはずなのに、デザインはいつのまにか、すごく遠い存在になってしまいました。

2017年の東京商工リサーチの調査によれば、日本の社長の平均年齢は61.45歳だそうです。高齢化が進む日本の経営者にとって、デザイン事務所にデザインを頼む、ということは、通い慣れた床屋ではなく、キラキラとまぶしく、若い女性が多くいる美容室で髪を切る、という感覚に近いのかも知れません。キレイになりたいわけでも、かっこつけたいわけでもない。だからうちには、デザインなんて必要ない、という風に。

デザインを必要かそうでないかと考える以前に、デザインはもうずっと昔から、そこに存在しています。正しいデザインは、会社や商品のブランド力を高め、適正な価格での販売を可能にし、求める顧客層を獲得できる最適な方法であり、ツールです。私たちは、ひとつひとつのプロジェクトを通して、ジャンルを越えたコラボレーションを積み重ねながら、デザインやクリエイティブの本来の目的を具現化し、デザインがどれほど身近なもので、そして大切で、社会をよりよくするための「希望」であるかをご理解いただけるような活動を心がけていきます。


WIPE代表 丸川竜也

© WIPE BY DRAGONBLOOMS INC.